公益財団法人    
   園芸植物育種研究所

    Institute for Horticultura Plant Breeding
 

 

平成25年度事業計画

1.基本方針

 温暖化と異常気象により農作物の価格は乱高下し、農業経営は非常に不安定な一年となり、かつここ数年続いた冬の異常低温と豪雪、さらには夏の猛暑を避けて、各産地では播種や定植時期の移動を検討し、作型の一部見直しが行われるようになった。作型の変更は病害虫防除にも関連し、栽培技術をより複雑にし、生産環境を一層不安定にしている現状にある。農業者の高齢化と後継者不足は益々深刻化し、全国各地で耕作放棄地が増え続け、離農と経営規模縮小が進行し、多くの野菜で作付面積の減少が起きている。これを受けて本研究所育成の野菜種子の配布量も年間2〜3%程度減少傾向にあり、かつ配布時期に1〜2週間の前進・後退が生じてきた。
 昨年10月から公益財団法人に移行したが、これを機に今年度は組織、管理、運営面で、大改革を断行し、公益法人としての社会的な責任を果たせる体制作りに努力する。前年度末で、東日本大震災被災県出身の本研究所研究員・職員が複数名退職することになった。本研究所としては貴重な人的資源の消失に繋がるが、被災県の農業の復興に飛び込もうとする彼らにエールを送らざるを得ない。代わって新年度から5名の研究員・職員を補充し、新たな体制でスタートすることになった。新法人に関わる各種規程も着々と整備され、所員一丸となって、より高いレベルでの公益に資する法人として改革の実践に取り組んで行く覚悟である。

 

2.育種・採種研究事業(研究に関する業務)

 年々変貌化する野菜生産、流通形態、消費動向等に対応するため、以下の育種目標を設定し、果菜類4品目について育種ならびに原々種・原種の採種を行う。また、1品目2研究員体制を整備し、単なる品種改良に留まらず、育種法、採種技術等に関連した基礎的・応用的研究にも着手し、育成成果を含めた研究成果を論文として公表する。
 本事業を恙なく実行するために、機械装置購入費(ハウス建設費等、3,944,542円)ならびに什器備品購入費(ハウス加温機等、1,926,000円)を予算に計上している。

1) 育種業務

メロン: @アムスタイプ・赤肉極早生品種の育成、A日持ち・貯蔵性の高い品種の育成・素材の収集・検索、Bタカミタイプのえそ斑点病(MNSV)・つる割病全レースに複合抵抗性品種の育成・食味の改良・論文発表準備。
ピーマン: @病害抵抗性の緑品種の育成(みおぎ等に青枯病抵抗性、ちぐさにL3付与)、AL3シグナルにおける奇形葉の改良、Bシグナルの雄性不稔化、C台パワーの疫病抵抗性付与、DL4さらら・TSRさららのウイルス抵抗性検定、E青枯病抵抗性台木品種の能力検定・品種発表・論文発表、F肉厚で苦味がない_品種の育成。
トマト: @継続中の黄化葉巻抵抗性品種の育成について実施する。A普通種および小果種について、高品質、多収、病虫害抵抗性品種、栽培面・採種面で省力的品種の育成を行う。また、B単為結果性品種の採種効率の向上について研究を行う。

 

2) 研究開発に関する業務

(1) 単為結果性トマトの種子生産の効率化に関する研究

(2) ウリ科種子品質に関わる栽培学的研究

(3) 種子の品質向上・管理に関する研究

(4) ピーマンの青枯病抵抗性台木に関する研究

(5) メロン黒点根腐病接種検定法の開発

(6) 低濃度エタノールを用いた土壌消毒に関わる研究

(7) トマト半身萎凋病接種検定法確立のための予備試験

3)オープンデイの開催 (育種・採種研究事業 公表)

 当所の事業公開の一環として、第11回オープンデイを6月14日(金)、15日(土)に開催する。会場の混雑を避けるため、第1日目は、第21回園芸技術講演会と併せて維持会員、農業関係者を対象に、第2日目は一般市民を対象に開催する。

4)「蔬菜の新品種」第18巻(2013)の発行

 2008年10月から2012年9月までに育成された蔬菜品種を対象に、公的機関および民間育種関係者に採録品種の照会を行い、「蔬菜の新品種第18巻」(2013年版)として、2013年6月発行を目標に、編集作業を行う。

5)学会・講演会等への参加

 研究成果の公表ならびに研究員の資質の向上のため、園芸学会、育種学会等の関係学会及び国内外の学術研究会等に研究員を派遣する。

 

3.教育補助事業(教育・研修に関する業務)

1) 研修生の教育

 長期研修生2名を受入予定している。研修生は千葉大学園芸学部の科目等履修生として基礎科目を学習させるとともに、野菜の栽培に関わる実践的技術は所内での各種作物栽培を通して習得させ、他に適宜国内の野菜産地、苗生産者等の視察研修を行う。

2) 園芸技術講演会の開催(教育補助事業)

 当所主催及び関係機関との共催による園芸技術講演会を2回開催する。維持会員からの要請による講演会の開催を周知させるとともに、その内容の充実を図る。

 

4.普及、啓発事業(普及に関する業務)

1) 種子の生産・配布

 品種改良に関する研究の成果として育成された品種を普及するため、前年の結果をふまえて、種子の生産および配布を継続事業として計画・実施する。
 生産する種子は、5種(カボチャ、メロン、ピーマン、トマト、エンドウ)17品種を 所内外で実施する。メロン種子の採種においては、引き続き土壌病害対策として、接木栽培を現地と協力しながら行い、採種圃場の清浄に努める。またその他種子伝染性病害についても、原種から一貫した衛生管理に心がけ清浄な種子生産に努める。検査体制充実、種子の純度検定、発芽率の向上にも努める。
 配布取扱い品種はカラーピーマン、ミニトマトが新たに加わり6種56品種となったが、年間配布量は横這いか、やや減少すると予測される。

2) 品種普及・産地開発

 研究成果として育成された既存品種、新品種の普及を既存産地含め、各方面と協力しながら新産地特に地理的に恵まれない離島や山間地等の開発を積極的に実施する。

3)講習会、説明会等への講師派遣

 育成品種の栽培技術の講習・説明会は現地の要請に応じて、これまで通り実施する。また、主産地では現地指導員の養成を検討する。

4)年報・要覧の編集発行

「平成24年度日本園芸生産研究所・園芸植物育種研究所年報」を発行する。
「平成25年度公益財団法人園芸植物育種研究所要覧」を発行する。

 


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